2024・07・03
1990年代後半、トラディッショナルメタルの復活の立役者と広く評価されているハンマーフォール、その勢いは衰えない様子だが、バンドの始まりのドイツのレーベル、Nuclear Blast Recordに復帰している。
DIMMU BORGIR、HYPOCRISY、IN FLAMES が同時期に上昇傾向にある中、このトラディッショナルメタルが危機に晒されてる時代に賢明にもこのハンマーフォールをリリースさせたのだ。
しかし、バンドの1997年の素晴らしいデビュー作、「Glory To The Brave」と 1998 年の優れた 2 枚目のアルバム「Legacy Of Kings」は、HAMMERFALL が純粋で生粋のメタルを再びクールなものにしただけでなく、クラシック メタルの原則を音楽的に守る次の波のバンドへの扉を開かせたのだ。
「Avenge The Fallen」はHAMMERFALLの13枚目のスタジオアルバムで、人気のジェイ・ラストン(ANTHRAX、AVATAR)がボーカルプロデュースを担当している。いつものように、HAMMERFALLは歌詞のレパートリーに長く含まれている兄弟愛、メタル、名誉をテーマにした、奮起を促すようなナンバーを次々と披露している。確かにこれらは目新しいものではないが、ヨアキムカンスが私たちに語ってくれたように、このスウェーデン人は30年近く続けてきた、おなじみのサウンドを新鮮に表現する能力を習得してきたのだ。
B: HAMMERFALL は Nuclear Blast Records に復帰しました。元のレーベルに戻ってきていかがですか?
J:人生で最愛の人と出会い、結婚し、しばらくして疎遠になっていることに気づく...というのは、ほかのどんな関係でも同じだと思うんだ。そして別れて。そして、思ってた以上に共通点があることに気づいて、また元通りになるんだwそれが、HAMMERFALLとNuclear Blastの間に起こったことなんだ。俺たちのキャリアは彼らと並行してやってきたんだ。1997年、俺たちが(レーベルに)参加した時、彼らはまだ小さいレーベルだったんだ。初めて彼らの事務所に行った時はドンツドルフ(ドイツ)という村のメインストリートにある小さなオフィスだったのを覚えてるよ。俺たちは彼らの成長を見てきて、また彼らも俺たちの成長を見てきた。そして急に彼らは大きい最大のメタルレーベルになったんだ。俺は戻って来れて嬉しいんだ。そうでないと言われても、彼らは友達であり、家族みたいなものだからね。そして、結果的にこれはビジネスということなんだ。彼らはやり方を理解していて、HAMMERFALLのやり方と同じ方向を向いてると感じたんだ。今ではめちゃめちゃ健全な関係だよ。
B: それについてもう 2 つ付け加えると、1997 年に Nuclear Blast は、真のメタルがあまりにもダサかったため、あなた方にリスクを負わせ、その後このバンドを優先しました。
J:アルバムをレコーディングしていた96年や97年に、俺たちを信じてくれていたのはオーナー兼社長だったマーカス・シュタイガーだけだった。他のスタッフは『んー、トラディッショナルメタルバンドか...上手く行くかなぁ』て感じだったよ。でも彼が言ったんだ『俺はこのアルバムをリリースしたい、優先的にやりたいんだ』と。他のレーベルやA&Rに会ったときにも言われたよ『新人バンドにこれほどプレッシャーをかけることはないよ。オーマイガー、彼は君たちに投資し過ぎてるんだよ。』ってね。でも俺たちは『いや、やってみるか』って感じだったよ。Nulear Blastとマーカスは正しかったと思うね。
B:トラディッショナルメタルの先駆者というクレジットを貼られても問題ないですね。
Photo Credit: Dirk Behlau
J:俺たちはたまにはその意味をよく理解しないといけない。俺たちはスウェーデン出身なんだし、"そんなことで俺たちを責めるなよ、たのむよ"って思うんだ。メンバーの中にはデスメタルバンドにいた奴もいるよ。彼らは80年代以降のトラディッショナルメタルがルーツさ。俺はトラディッショナルメタルから一度も離れなかった。今もなお、だよ。街で会った人にも言われたことがある。『おい、なんで皆が聞きたいやつをやらないんだ?』俺は彼らを見て言ったよ『俺は俺がやりたい曲をやるし、ハッピーにしてくれるしね』結局はそれが一番大事なんだよ。自分が感じることをやればいいんだ。何に感じるか、だ。誰も他人の人生を指図すべきじゃないよ。何をすべきか、何を着るべきか、何者であるべきか、誰もあなたに教えるべきことではない。それがこのニューアルバムのテーマなんだ。
B: 「Avenge the Fallen」については、ツアー中に曲を書くので、曲に困ることはないとオスカーが言っていました。とはいえ、あなたたち2人の意見が食い違うことはありますか?
B: 「The End Justifies」は「Heeding The Call」に似ているので、意図的に(初期シングル曲)"Hammerfall"の歌詞を散りばめたのですか?
J:この曲はHeeding The Callにめちゃくちゃ似てるんだ。アルバムのオープニングにしなかったのも、それが理由なんだ。“だめだめ、1曲目にしないで、みんなHeeding The Callだって思っちゃうよ!"って感じだった。この曲はバンドが経てきた歩み、そしてバンドとファンの絆についての曲なんだ。ファンはいつも俺たちを支えてくれているし、俺たちもファンを支えている。いつもね。俺は昔の曲から引用するのが好きなんだ。全曲にそうしてるわけじゃないけど、ここ10年間、各アルバムに1曲はそういうのが入ってる。めちゃクールだと思うよ。、たまにはリマインダーにもなるしね。印象強い言葉や文章があるなら、繰り返すべきだと思うんだ。
B: あなたがまだ"A metal heart is hard to tear apart" (メタルハートは引き裂かれない)ってスローガンを使ってるのが良いですね。
J:俺たちの初めて作ったTシャツのバックプリントに書かれてたものなんだ。スローガン、マントラになったよ。思いついた時はちょっと安っぽいかなって思ったのを覚えてるよ。と、同時にパワフルな言葉だよね。メタルハートは引き裂くのは難しい。'96 年と '97 年の HAMMERFALL が、その生きた証拠さ。10 年後にまた使うかもねw
B:最近、バラードはいかがですか?『Hope Spring Eterna』は最近作ったバラードの中でも特に良い曲に入りますよね。
J:ライブパフォーマンスにおいて、バラードというのはシンガーのソロだと思ってる。ドラマーやギタリストと同じように、観客がトイレ行く時などの2分半から5分間の間、そこに立ってボーカルのスキルを披露できるんだ。これは俺にとって歌手としての能力を少し披露するチャンスなんだ。俺は本当にバラードが大好きだ。このバラードはアルバムの中でも目立たない曲さ。オスカー作ってくれた曲の中でずっと古い曲で、ずっとずっと温められてきた曲なんだ。彼は俺にどうにか出来るか聞いてきた。彼は上手くいくかわからなかったんだろう。俺はすぐにサビとサビ前のアイデアを思いついたんだ。俺は何度も何度も聞いて、自宅の小さなマイクスタジオで録音ボタンを押さないといけなかった。そこなら、いつアイデアが湧いてもすぐに録音ボタンを押せるからね。サビとサビ前で聴けるのは俺がその場で思いついたもの、ほぼ、そのものだよ。
B:HELLOWEENのMichael Weikath はバラードがないとアルバムは完成しないと言ってましたが、あなたも同じですか?
J:もちろん、そうだよ。でももし、皆が、それは当たり前と受け取ってしまうのなら、バラードはやらない方がいいかもなw
B: オスカーが最近言った、「曲順から 1 曲減らしたらアルバムは駄目になる」という言葉について、詳しく教えていただけますか?
J:どの曲も曲というのはみんな、パズルみたいなものだと思うんだ。煉瓦の壁の煉瓦のような。何か一つでもかけてしまうと、壊れてしまう。俺たちはコンセプトアルバムは作ったことはないんだ。俺の意見では音楽こそがコンセプトさ。1曲でも欠けたら、このアルバムが伝えているストーリーやアルバムのテーマから何かが欠けてしまう。だから、絶対にそう。バリエーションが必要なんだ。速い曲からバラード、ミッドテンポ、そして「Time Immemorial」のように人々があまり予想していなかった曲まで、変化をつける必要がある。あれは「アウトサイダーの曲」だ。「わあ、すごい。こんな曲が出るとは思わなかった」という感じ。アルバムを盛り上げるためのあらゆる要素が詰まっているんだ。
B: ジェイ・ラストンは、多くの有名なメタルやロックのアーティストをプロデュースしてきました。「Avenge The Fallen」で、彼はあなたの何を引き出しましたか?
J: 彼はアルバムに何が必要か分かっている。そうでなければ、俺は声を張り上げて歌い上げて、全然幸せじゃなかったり、気が狂ってスタジオのすべてを壊したりしていただろう。ジェイムス・マイケルとは10年以上一緒に仕事をした。親しい友人になり、彼がいなくてとても寂しいが、いくつかの事情で続けられなくなった。その後、デンマークに行き、ジェイコブ・ハンセンと『Hammer Of Dawn』で仕事をした。このアルバムのためにデンマークに行ったのだが、1月にデンマークに行きたい人がいるだろうか? スウェーデンよりも天気が悪い。もちろん、太陽があるからロサンゼルスに行くのが僕にとってはいつでも好ましい。そこにいて、30年以上前に勉強していたので、とても多くの時間を過ごした。とてもエネルギーが湧いてくる。それから、俺がこれまで以上に上手く歌えるように、適切なボタンを押してくれる適切な人を探していた。ジェイと出会ったのは、YouTubeシアターでのHELLOWEENのショーの時だった。彼はジョーイ・ヴェラ[ARMORED SAINT]や他の人たちと一緒に来ていた。話しやすいと感じた。彼に連絡したんだ。「この人、すごく気に入った」と思った。結局、彼はジョン・ブッシュ(ARMORED SAINT)、AVATAR、ANTHRAXを手がけたプロデューサーだった。ビッグバンドも手がけたことがある人だよ。それで、彼と一緒に仕事をしたいと思ったら、彼もやりたいって。彼はジェイムスやジェイコブよりも少しうるさい人だった。彼は僕に全部歌わせて、今どきのコンピューターパワーは使わせたくないと思っていたんだ。「ここのテイクはいいよ。あれもこれも直せる」みたいな。彼は小さな箇所を治していく、それが大きな問題と考えていた。それがクールだと思ったんだ。
B:ボーカルの面ではどうですか?
バンドがあなたのためにキーを落としてないのはあなたが正しくやってきたためからでしょう。
J:神に感謝すべきか、悪に敬意を示すべきか、分からないけど、俺の声はまだ健在だ。俺は自分自身の体を大事にしてるんだ。週に20-30キロ走ったりしてね。体調を維持するよう努めている。それが長い間、最高のパフォーマンスで歌える秘訣だってわかってるからね。残念だけど、一部の曲はライブで歌うことを想定して書かれてない。それには今でも苦労してるけどね。でも俺は今良い状態にあると思うよ。この業界では、逆方向に進んでいく友達を何人も見てきた。俺はまだ上向きのスパイラルにいるって感じてるよ。自分の音域は狭まってないよ。
B:ドン・ドッケンのような人たちが問題を抱えていることや、ポール・ディアノ (元アイアン・メイデン) が車椅子でパフォーマンスしていることについてどう思いますか? 彼らの状態に怯えたりしますか?
J:俺たちは皆、年をとっていく。そしていつか歌えなくなることを皆理解しないといけない。その時は正気でいられたらいいけど、歌えるようにメロディを変えないといけないならステージには上がらないよ。同じ歌にならないだろうし、同じ人間ではいられないだろうし。自分の色褪せた姿、自分の影になってしまう。そんな風にはなりたくないよ。俺が俺自身に教えてくれるか、または保険に加入して、『へい、まだアルバムをレコーディングするのかい?やめなよ。あなたのキャリアの何の役にも立たないよ?』って言ってくれたらいいんだけどなwでもステージに立つこと、観客に対しての愛、観客から得られる自然な高揚感。他では得られないものなので、ステージから降りられないのは何故か、俺にはわかるな。彼らはステージ上の人物と自分を同一視している。それが問題だと思うんだ。